ヘビに咬まれたら 対処法

ヘビに咬まれた!!

手順1

まず第1の手順。とにかく落ち着く
パニック状態になってしまうのが最もしてはいけないこと。
気が動転していては冷静な判断ができなくなり、脈拍が上がり毒が体にまわるのを促進してしまう事になってしまう。

毒ヘビのカテゴリ:マムシヤマカガシで少し大袈裟に危険性を訴えているが、血清を打たずとも毒ヘビに咬まれたからと言って死んだりすることは実際には滅多に無い。

なので安心して、まずは落ち着こう。


手順2

消毒以外は何もしない

これは”非常に重要な事”である。できることは何もない
何か応急処置をすることは悪影響を及ぼす

この事実を知っておくだけで被害を最小限に抑えることができる。
患部を冷やしたり、毒を吸い出したり、きつく縛りつけたり、全て逆効果である。
(毒ヘビに咬まれたかもしれないと思ったら、手順2の以下は読まずに手順3まで読み飛ばそう。)

以下は毒ヘビに咬まれたことを前提とし、なぜ逆効果なのか短く要約する。
1:患部を冷やすことは正しい症状の確認を妨げることになる。
※2:毒を口で吸い出すと、気づかぬ虫歯や口内炎から血液中に毒が進入してしまう。
3:きつく縛りつけても、毒は全身に回る。毒を限られた部分に高濃度の状態で留めることになるため、毒の濃度が高く留まっている部分がより重症化してしまう。

※2:ヘビ毒の経口摂取による人体への影響はないが、虫歯、口内炎以外にも小さな内臓の炎症や潰瘍、その治りかけの痕。数日前に魚の骨が喉に引っかかった。など自分では自覚していない傷があることが多いため絶対にやめよう。血液中に毒が進入してしまうことになる。

その中で、行っても良い処置が2つあるので一応記述しておく。
が、処置を行ったから好転するようなことでは無く、マイナスに影響しない(何もしないのとあまり変わらない)からであると考えておいて欲しい。
1:毒吸引機による咬傷痕からの毒の吸引。
2:噛まれた部位より心臓側の部分を「ゆるめ」に縛る。

1:毒吸引機による咬傷痕からの毒の吸引は少量ではあるが毒を吸い出すことができる。しかし、すでに全身に毒は回っているためほとんど意味は無い。時間がもったいないので早く病院へ行こう。

2:噛まれた部位より心臓側の部分を「ゆるめ」に縛るのは、一部分に高濃度の毒を留めすぎないように適度に全身に毒を分散させ、病院まで向かっている間の少しの時間、症状を遅延させる目的がある。が、実際はただの気休めである。


手順3

咬んだのが毒ヘビかどうか調べよう

まず日本本土に存在する毒ヘビはマムシヤマカガシしかいないという事を思い出そう。その上で、咬んだヘビがまだ近くに居る場合は見て判断できるかもしれない。

咬まれてうろたえている間にヘビが逃げていっていたり、目視でヘビが特定できない場合もある。そんな時は以下の方法で調べることが出来る。

 

生息地から調べる

単純かつ局地的な方法。
ヤマカガシは北海道には生息していない
もし咬まれたのが北海道でのことなら、ヤマカガシの可能性は捨ててかまわない。

 

牙痕(咬まれた傷痕)から調べる

下の画像は有毒であるマムシヤマカガシ、そしてその他無毒のヘビの咬み痕を示している。

画像の様に毒ヘビには牙があり、マムシの場合は並行する2つの牙痕が残ることが多い。ヤマカガシの牙痕はアオダイショウ等と似ていてまぎらわしいが、図のような後牙の痕がない場合は、無毒のヘビに咬まれたか、ヤマカガシに咬まれたが後牙による毒の注入は行われなかった可能性がある。

それでもヤマカガシに咬まれてしまった、咬まれたかもしれない。と、心配な場合は病院へ行こう。そして平気だと診断されてもどうしても心配な場合ジャパンスネークセンターへ連絡しよう。

 

痛みなどの症状から調べる

咬まれて少し時間が経過するとマムシの場合は20~30分程もあれば症状が表れる。
焼けるような激しい痛みと共に患部は腫れるので、咬まれた本人がマムシに咬まれたと確信するだろう。ヤマカガシであれば、場合によっては20~30分程で一過性の頭痛に襲われることがあるので、症状が現れたら病院へ行き診てもらおう

30分程時間が経過しても激しい痛みなどの症状が無い場合はマムシによる咬傷ではない事が分かる。
30分程で特別な症状が現れない場合はヤマカガシか無毒のヘビである

数時間~1日くらい時間が経過して、歯茎やその他傷痕、咬傷痕から持続的に出血が見受けられる場合はヤマカガシによるものである可能性が非常に高い。病院へ行き、咬まれたときの状況と、今、身体に現れている症状と共に、ヤマカガシによるものかもしれないという事を伝えよう。また、ヤマカガシの場合の対応を病院の先生が知らなそうな場合はジャパンスネークセンターへ連絡しよう。

 


ヘビの識別は難しい

毒ヘビに咬まれたらその識別が非常に重要であるが、実際のところは幼蛇と成蛇で色や模様が違っていたり、アルビノ(白変種)やメラニズム(黒変種)、その他多様な変種も多いため、判別できないことがほとんどである。

ジャパンスネークセンターでは、病院でヤマカガシ咬傷と診断されて、ジャパンスネークセンターにヤマカガシ抗毒素の依頼があるが、そのほとんどが誤診であるとしているため、病院の先生も患者からの情報を元に診察するしか無く、最悪の状況を考え対応しているという事だろう。

以上のことから、咬傷の治療が遅れ重症化してしまうことの恐ろしさと、実際にはヤマカガシによる咬傷は非常に稀であるという事がうかがい知れる。

センターへ連絡する際は1度当人(患者)の症状が本当にヤマカガシによるものかどうか可能性を確かめなおした上で、それでも不安な場合にかぎり連絡するように気をつけた方が良い。